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論文備忘録

学士未満の学生が訓練のために気になった論文をメモしたり、読んだり、それについてコメントしてみたりするサイトです。論文ジャンルは情報系、放射線系を中心に色々になると思います。 内容の解釈や考察が間違っている可能性が多分にあります。

Learning and memory under stress: implications for the classroom

http://www.nature.com/articles/npjscilearn201611

 

 教育現場におけるストレスの、特に学習と記憶のプロセスへの影響についての論文。

 ここで挙げられているストレスとは、テストや宿題、締切に加えて、クラス内での人間関係なども含んだものを指す。

 

 まずストレスを受けた後の生理的な反応が述べられている。自分へのメモとして。

「ストレスを受けるとまずANS(自律神経系)が活性され、ノルアドレナリンのようなCatecholamineが分泌され、 "fight-or-flight" responses (戦うか逃げるか反応)が引き起こされる。そしてこの反応は、脳内の学習、記憶プロセスに密接に関わりのある、海馬や扁桃体前頭葉に影響を与える。そして次に視床下部-下垂体-副腎系が副腎皮質ステロイドを放出する。これらも記憶や感情に関連する海馬等の部分に作用する。」

 

 ストレスが記憶に与える影響として、3つほど挙げており、それらをどのように調査したのかが述べられている。以下に出てくる記憶のエンコーディングとは、記憶の基本的過程のひとつであり、情報を取り込んで記憶情報として保持されるまでの「憶える」過程のことを指す。

エンコーディングよりかなり前のストレスは記憶の構成を傷つけ、エンコーディング前後のストレスは基本的にその後の記憶能力を向上させる。対照的に、思い出す過程の直前のストレスは、記憶を呼び起こす能力を損ねる(テスト等にダイレクトに影響する)。これらに加えて、ストレスは既存の知識に新しい知識を加えて統合する際にも、悪影響を与えるように思われる。

 

・記憶を呼び起こす能力への影響は、対象となる二つのグループに対して一方にストレスを与え、その後神経衰弱をやってもらうことで確認したとのこと。結果、ストレスを受けていないグループの方がスコアが良かった。

 

記憶の統合への影響に関しては、対象となる二つのグループに対して、一日目にショートムービーを見せ、二日目にムービーに関して間違った内容を含んだアンケートを配布、三日目に間違った内容がどれくらい本来の記憶に影響を与えているかを調査した。結果、ストレスを受けたグループはアンケートの影響をもう一方のグループに比べて受けていなかった(新たな情報が元の情報に統合されていなかった)。

 

 自身も教育に関しての研究を行っているが、教育に関する論文はあまり読む機会がなく、今回読んでみた。ストレスが記憶に与える影響といえばトラウマがぱっと浮かぶが、この論文を見る限りストレス与えるタイミングはうまく考える必要がありそう。